おすすめサイレント・ブック一覧【対象年齢別】文字のない絵本

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1人で勝手に絵本読んでくれたら楽なのにな~
なーんて思うこと、ありますよね。

動画やゲームなら勝手にしてくれるだろうけど、ずっとそればっかりじゃ気が引けるし。
かといってまだ文字は読めないし、読めても物語を楽しめるほどじゃない。

そんな時にオススメしたいのが、いわゆるサイレント・ブック

イチゴ(次女)
イチゴ(次女)

サイレント・ブックってなーに??

マイタケ
マイタケ

文字のない、絵だけの絵本のことだよ。
移民や難民の多いヨーロッパでは特に親しまれている絵本なんだって!

あるシーンだけを集めたものもあれば、漫画のように物語を作り出しているもの、何かの意味を持たせて暗喩的に描かれているもの…
サイレントな絵本の世界もまた、奥が深くて楽しいんですよ!

年齢にあった絵本を渡してみれば、世界にどっぷりとのめり込んでくれるかもしれません。
大人が読んでも面白い作品もたくさんあります!

こんな方におすすめ

・子どもが一人で読んでくれる絵本を探している
・決められたストーリーを追うのに疲れた
・うっとりするような絵の絵本に出会いたい
・子どもや自分の想像力を高めたい

赤ちゃん・乳児期におすすめのサイレント・ブック

この時期のお子さんは絵本を遊び道具と認識している子も多いので、噛んだり舐めたりしないよう、なるべく一緒に楽しむようにしてくださいね。
「これは〇〇だね~」なんてお話しながら一緒に楽しめる絵本を選びました。

したく(あかちゃんのえほん)

  • 作 ヘレン・オクセンバリー
  • 文化出版局
  • 1981年12月発刊

6か月からのあかちゃんのための絵本シリーズ(全5冊)。身近なもの、人をとりあげて、あかちゃんの興味をそそります。お母さんもいっしょに楽しめる、文字のない知識絵本です。あかちゃんが触ったり、ひっくり返したりして遊ぶことを充分考えて、角の丸い丈夫な装丁にしました。

Amazon「したく」商品説明より

シリーズすべてサイレント・ブック

この『したく』の他にも『かぞく』『あそび』『ともだち』『しごと』と、身近なものが描かれているサイレント・ブック。
発売から40年以上経っているのでレトロさはありますが、赤ちゃんを取り巻くあれこれはあまり変わりませんね。
装丁も頑丈で、プレゼントにもぴったりです。
赤ちゃん向けサイレント・ブックの定番ともいえる絵本です。

たのしいいちにち

  • 作 わかやまけん
  • こぐま社
  • 1977年12月発刊
  • はじめてのこぐまちゃん

「こぐまちゃんえほん」のあかちゃん版。丈夫で良質な厚紙を使った小型のボードブックです。朝ご飯、はみがき、砂遊び、お風呂、おやすみなさい。あかちゃんの一日の生活を描いた絵本。こぐまちゃんの行動が左ページに描かれ、使われる道具が右ページに描かれていて、赤ちゃんのおしゃべりを誘います。

こぐま社「たのしいいちにち」

みんな大好きこぐまちゃんシリーズの赤ちゃん版!

カラフルな絵が子どもたちの目をくぎ付けにするこぐまちゃんシリーズ。
中でもこのはじめてのこぐまちゃんシリーズはボードブック仕様なのでファーストブックにもおすすめ。
身近な生活が描かれた『たのしいいちにち』はシーンごとに使うものもあって会話が弾みますよ。

どうぶつのおやこ

  • 画 薮内正幸
  • 福音館書店
  • 1966年11月発刊

いぬ、さる、くま、ぞうにライオン……。町や動物園で見かける身近な動物たちが次々に登場します。どの動物の子どもたちも、お母さんやお父さんがいっしょです。だっこされたり、じゃれていたり、子どもたちはとても安心した表情をしています。それぞれの毛の手ざわりや、息づかいまでが感じられるほど丁寧に描かれた動物たち。まるで親子がかわしていることばまでもが聞こえてきそうです。小さな子どもたちにぴったりの文字のない動物の絵本です。

福音館書店「どうぶつのおやこ」

発売から半世紀経っても色褪せない絵

こちらはタイトルの通り、いろいろな動物の親子の様子を丁寧な筆致で描いた絵本です。
子どもたちが大好きな動物は、今も昔も同じなのかもしれませんね。
動物園デビューする前に一度は読んでおきたい作品です。

じどうしゃ

  • 作・絵 寺島竜一
  • 福音館書店
  • 1966年11月発刊

1台の乗用車が走っていると、トラック、タンクローリー、パトカーや消防車など、さまざまな種類の自動車が登場して、連なって進んでいきます。車を、正面、横、斜めといろんな角度から見ることもできます。赤ちゃんが目にしている身近な乗りものを、ていねいに、そして正確に描いた字のないのりもの絵本です。絵本の中に、生活の中で目にしている本物が登場することで、絵本への興味と感心がぐっと高まります。

福音館書店「じどうしゃ」

レトロ感を楽しむじどうしゃたち

こちらもかなりのロングセラー絵本。
しかも自動車なので、今とはかなり形が違う自動車もいっぱいです。
でも筆致がとても丁寧なので大人でも見入ってしまいますよ。
働く車たちもたくさん出てくるので、次に何が出てくるのか楽しみながら読んでみてください。

幼児前期におすすめのサイレント・ブック

物語ではないけれど、ストーリー性のある方が惹きつけられる時期かもしれませんね。
次はどうなる?とか比べたりとか、少し考えて楽しめる絵本を選びました。

あかいふうせん

  • 作 イエラ・マリ
  • 解説 渡辺茂男
  • ほるぷ出版
  • 1976年発刊

ぼうやのふくらませた風船がリンゴ、ちょう、お花と変わっていきます。ページを開くごとに新しいできごとが、リズムを持って展開していきます。新鮮な文字なし絵本の傑作。

ほるぷ出版「あかいふうせん」

グラフィックデザイナーによる美しい絵

表紙の緑に赤い風船がパッと目を引く絵本です。
風船が膨らんで様々なかたちになっていくので、次はどうなるんだろう?とページをめくらずにはいられません。
はじめてアートに触れるのにもぴったりな作品!

雨、あめ

  • 作 ピーター・スピアー
  • 評論社
  • 1984年6月発刊
  • 厚生省中央児童福祉審議会推薦図書

レインコートを着て雨のふる庭へ飛び出していく喜び、クモの巣に光る雨のしずく、水たまりに広がる波紋、びしょびしょの体をふいて温かい飲み物を飲む瞬間、雨上がりの庭の澄んだ空気。 画面隅々まで雨の日の楽しさ、美しさに溢れていて、いきいきと描かれた新鮮な世界が目に飛び込んできます。字の無い絵本。

Amazon「雨、あめ」商品説明より

雨の日の楽しみを教えてくれる絵本

あー今日は雨かあ…なんて思っちゃうけど、こんなお出かけなら楽しみになっちゃいます。
サイレント・ブックなのに雨の降る音、水たまりを歩く音、いろんな擬音が聞こえてくる気がします。
お気に入りの傘と長ぐつ、そしてレインコートでお出かけしたくなっちゃいますね!

かさ

  • 作・絵 太田大八
  • 文研出版
  • 1975年9月発刊

雨の中を女の子が赤いかさをさしておとうさんをむかえにいくまでに、ドラマチックで楽しいできごとに合う。墨一色の中に赤いかさを配した絵で伝える文字なし絵本。

文研出版「かさ」

赤い傘から目が離せない

雨が降ると、確かに世界がなんだかくすんで見えますよね。
そんな時でも華やかな赤い傘は目を引きます。
なんてことのない日常なのに、自分で想像して世界が広がって見えるような絵本です。

なんにかわるかな

  • 作 パット・ハッチンス
  • ほるぷ出版
  • 2019年9月発刊(新版)

つみきって、たのしい!つみきでなにつくる?男の子と女の子といっしょに、つみきでいろんなものをつくってみよう!つぎは、なんにかわるかな?文字がないからこそ、自由に想像をふくらませて読むことのできる絵本。ケイト・グリーナウェイ賞作家パット・ハッチンスによる、40年以上愛されてきたロングセラーの新版。

ほるぷ出版「なんにかわるかな【新版】」

積み木遊びが好きになったらコレ

積み木で見立て遊びを始めるようになったら、こちらの絵本をおすすめしたい。
きっと子どもたちが頭の中で考えていることが具現化されているはず。
ちょっぴりハラハラしつつ、読み終わったあとの積み木遊びがまた止まらなくなっちゃいそう!

きこえる?きこえるよ

  • 作 たしろちさと
  • 案 田中尚人
  • グランまま社
  • 2008年10月発刊

食べる音や水道の蛇口の音、工事現場や電車、動物園の音、そして音楽や子守唄まで、
ページを開いてそっと耳を澄ませてみると、きっと聞こえてくる聴覚の絵本です。

グランまま社「きこえる? きこえるよ」

文字がなくても聴こえてくる絵

生活の中で見慣れたシーンの絵が描かれた絵本です。
文字は一切ないのに、その場の音が聞こえてくるようです。
ラーメンをすする、ジュースを飲む、雨が降る、電車が通る…そんな身近な風景に、どれほどの音が溢れているのか思い起こさせてくれますよ。
感性をテーマにした「The Book Of Sense」シリーズの一冊です。

幼児後期におすすめのサイレント・ブック

これくらいの年齢になると、絵だけで簡単なお話を理解することができる子も多いはず。
そんなストーリーを追えるものや、探し絵要素があるような自分で楽しめる絵本を選びました。

ぞうのボタン

  • 作 うえののりこ
  • 冨山房
  • 1975年3月発刊

ぞうがいます。おなかにボタンを4つつけています。そのボタンをはずすと、中から出てきたのは……?次から次へと動物が登場する楽しい絵本。文字がないことで、逆に子どもたちの想像力が大きく広がります。

冨山房「ぞうのボタン」

ラストのオチには大人も「えー!?」

大きさや着ぐるみの概念が理解できるようになったら、より楽しめる絵本です。
たくさん動物が出てくるので、次に何が出てくるかあてっこだけでも楽しい。
そういう意味ではもっと小さい子だって楽しめます。
でもやっぱり、ラストのオチはこれくらいの年齢の方がより驚けると思いますw

どっちがへん?

  • 作 岩井俊雄
  • 紀伊国屋書店
  • 2006年6月発刊

一見、同じに見えるふたつの絵。でも、どこかがちょっとおかしいぞ。「どっちがへん♪どっちがへん♪どっちがどっちがへん♪」と軽快に歌いながら、2枚の絵をピッと見せて、子どもにどっちが変か聞いてみます。親子の楽しい時間を演出する「コミュニケーション・ツール」

Amazon「どっちがへん?」商品説明より

幅広い年齢で楽しめる絵本

パッとみると同じような絵だけど、よく考えるとおかしいぞ?という絵を見比べて発見していく絵本です。
間違い探しとはまた違う楽しさがあります。
また、年齢を重ねていくごとに“へん”な箇所を発見する能力が上がっていく我が子に成長を感じます。
ながーく遊べる絵本です!

おふろやさん

  • 作 西村繁男
  • 福音館書店
  • 1983年11月発刊

家族でお風呂屋さんに出かけたあっちゃん。立派な屋根と高い煙突のお風呂屋さんに入り、脱衣所で服を脱いでお風呂場へ。たくさんの人が身体を洗ったり湯船につかったりしています。湯船の上には富士山と松林の絵。あっちゃんは身体を洗い、ともだちと少し湯船で遊びます。お風呂を出たら、服を着て牛乳を一本飲みます……。子どもからおじいさんおばあさんまで、おおぜいで賑わうお風呂屋さんの様子を生き生きと描きます。

福音館書店「おふろやさん」

今となっては体験できる子の方が少なそう

大人の皆さんには、まだこのような光景を味わったことがある方も多いかもしれません。
でも今やこのようなお風呂屋さんはほとんど見かけなくなってしまいましたね。
実際に体験することはできなくても、絵本の中なら想像で体験出来ちゃいます。
今日のお風呂上りには、ぜひ牛乳を用意してあげてくださいw

こちらもおすすめ!

同じ西村さんの作品『やこうれっしゃ』です。
こちらも今となってはなかなか経験できない世界。
旅のワクワクと夜のドキドキが合わさって、見ているだけでも楽しいです。

なみ

  • 作 スージー・リー
  • 講談社
  • 2009年7月発刊

小さな女の子の波との追いかけっこ。寄せてははかえす波との無心の遊び。
文もなく、2色だけで、だれの心にもある夏の思い出のきらめきや、ざわめきが表現された絵本。昨年、アメリカで刊行されるや、たちまち世界じゅうから、出版の申し込みが殺到した話題作です。

Amazon「なみ」商品説明より

絵で語るとはこういうこと

実際に海を見たことがある子も多くなるこの年齢だからこそ、あの時の風景を思い出してグッとくるような気がします。
絵の表情がほんとうに豊かで、波にまで感情を思わせる絵が素晴らしい。
文章がなくとも、すべての音がぶわっと聞こえてくるようです。

こっちもおすすめ!

かげで見立て遊びをしている女の子の、いきいきとした姿がほんとうに可愛らしい!
でも、あれ?と気付いたらもう、その世界に引きずり込まれているんです。

ケーキをさがせ!

  • 作・絵 テー・チョンキン
  • 徳間書店
  • 2008年4月発刊
  • オランダ銀の絵筆賞受賞

犬さんのケーキをネズミがぬすんだ。犬さんは怒っておいかけて…森や山で、動物たちのそれぞれのお話が展開し、何度見ても新しい発見がある、楽しい「お話さがし」の絵本。どろぼうネズミを、最後に捕まえたのはだれ?…動物たちが何をしているか、さがしてみよう!

あれもこれも盛りだくさんな展開

題名のとおりにケーキを探す…だけでは絶対に終わりません!
絵のあちらこちらで展開している動物たちのアレコレが気になって気になって、前のページに戻る手が止まらないのです。
読み聞かせが苦手…という方にこそおすすめしたい、子どもと一緒に遊べる絵本です。

小学校低学年からおすすめのサイレント・ブック

小学生ともなれば理解力もググっと上がっていきますよね。
大人が読んでもハッとしちゃうようなものや、理解したときストンとくるようなお話の絵本を選びました。

漂流物

  • 作 デイヴィッド・ウィーズナー
  • BL出版
  • 2007年5月発刊
  • コールデコット受賞作品

浜辺に打ち上げられた一台の古いカメラ。ひろった少年が中のフィルムを現像してみると、そこには驚くような世界がうつっていた・・・・・・。ウィーズナーのリアルで精緻な描写で表現された、文字のない絵本。

BL出版「漂流物」

ロマンあふれる海からの贈り物

サイレント・ブックといえばこの方を思い出す方も多いはず、文字があってもごくわずかで本当に絵で語ることができるレジェンド作家さんです。
精巧な筆致で描かれた美しい絵だからこそ、ファンタジーとリアルの境目の描き方に説得力が増すのです。
この作品もほんとうにロマンあふれて、実際にこんなことあるかも?と思わせてくれます。
海に流れ着いた“漂流物”を探しに行きたくなっちゃいますね!

こっちもおすすめ!

もうウィーズナー作品はぜんぶ読んでいただきたいほどわたしも大好きなのですが、ファンタジーとリアルの狭間だとこちらの『セクター7』がおすすめ。
日本だとスカイツリーかな??夢が膨らみますね。

ジャーニー 女の子とまほうのマーカー

  • 作 アーロン・ベッカー
  • 講談社
  • 2013年11月発刊
  • コールデコットオナー賞

少女が赤いペンで部屋の壁に描いた扉。それは魔法のような世界への入り口だった!
ボート、気球、魔法のじゅうたん……。
さあ、扉をあけて、めくるめく大冒険が待ち受ける旅、”ジャーニー”に出発しよう!

Amazon「ジャーニー 女の子とまほうのマーカー」商品説明より

マーカーを手に想像の旅に出る

ファンタジックな世界が好きなら、ぜひ手に取ってほしいこのシリーズ。
3部作の1作目がこちらです。
赤いマーカーで描いた扉を開けた瞬間、大人だって子どもの心に戻ってしまいます!

ZOOM

  • 作 イシュトバン・バンニャイ
  • 復刊ドットコム
  • 2005年4月発刊

ハンガリーの絵本作家バンニャイがアニメーションのズーム・イン、ズーム・アウトの技法を絵本に持ち込んだ不思議な世界。鶏のトサカを見る視点が家から牧場、牧場からさらに広がり続けて、最後は地球さえ点となってしまうまでズーム・アウトする自由なまなざしの冒険。

復刊ドットコム「ZOOM」

視点が広がっていく面白さに夢中!

最初はなんてことのないニワトリを見ている子どもたちの後ろ姿。
ページをめくると、さらに引いた場所からズームアウトして見ている一枚。
さらにページをめくると…と、どんどん変わっていく視点に驚きが止まりません!
読み終わったら、今度は反対からズームインしていきたくなっちゃいます。

こちらもおすすめ!

続編『Re-ZOOM』ももちろんオススメしたいんですが、この『アザー・サイド』はもっと複雑!
こちら側と向こう側、確かにちゃんと存在しているのに全然違う…!
この不思議な感覚がクセになっちゃうんです。

このまちのどこかに

  • 作 シドニー・スミス
  • 訳 せなあいこ
  • 評論社
  • 2021年1月発刊
  • ニューヨーク・タイムズ最優秀絵本賞
  • エズラ・ジャック・キーツ賞

出版社の内容紹介が、いきなりネタバレなのであえてあらすじは載せません。
ぜひ、何の知識もなく手に取って、そういうことだったのか!と体験していただきたいです。

評論社さん、あらすじでネタバレはやめてほしい…

男の子の行動の意味が分かった時の素晴らしい感覚

ほんと難しいと思うんですが、ぜひあらすじに触れずに読んでいただきたい作品。
この子はどうしてこういう行動を取っているのか?
文字がないからこそ一緒に考えて、ハッとする感覚が味わえるのです。
そしてもう一度最初から読むとまた違った気付きが出てきますよ。

しま

  • 作 マルク・ヤンセン
  • 福音館書店
  • 2022年5月発刊
  • オランダ

大荒れの海。男性と女の子と犬を載せた船は、自然の猛威の前に大破。遭難してしまいます。命からがらたどり着いたのは「しま」。でもそこはカメの甲羅の上だったのです……。『しま』は字のない絵本です。ヤンセンさんの、深みがあってさわやかで、心地よい夢のなかにいるような絵は、読む人の数だけものがたりが生まれることでしょう。字のない絵本はたくさんありますが、『しま』は絵を「読む」絵本です。

福音館書店「しま」

美しい絵が紡ぎだす優しい物語

この大きさで出版してくれたことに感謝したくなるくらい、隅々まで美しい絵です。
どこを切り取っても飾っておきたくなるような素晴らしい絵で紡ぎだされる物語は、きっと読むたびに違ったものになるでしょう。
大人にもぜひ読んでいただきたい作品です。

小学校高学年からおすすめのサイレント・ブック

大人と子どもの間、思春期に差しかかかると視点もぐんと広がります。
世界に目を向けられるようなもの、心に響くものがあるような絵本を選びました。

旅の絵本

  • 作 安野光雅
  • 福音館書店
  • 1977年4月発刊

中部ヨーロッパを舞台に、馬に乗った旅人が、農村や街を抜けて進んでいきます。行く先々で描かれるのは、そこで暮らす人々の生活や行事、そしてその地域の街並みや自然。克明繊細な筆致で、中部ヨーロッパの暮らしがとらえられています。さらに、すみずみまで細かく描きこまれた中には、おとぎ話の主人公や、有名な絵画へのオマージュも。時間を忘れて楽しめる、旅する喜びが凝縮された1冊です。著者による、各場面の解説付き。

福音館書店「旅の絵本」

絵本で世界中を旅しよう!

どっぷりと世界に浸り、じっくりと旅の気分を味わってほしいこのシリーズ。
小さな子でももちろん楽しめますが、あちこちに仕掛けられた遊び心を理解できるのがきっとこのくらいの年代。
あのお話だけでなく、見たことある名画たち、どれくらい探せる?
親子で一緒に見つけてみても絶対楽しい!!

なぜあらそうの?

  • 作・絵 ニコライ・ポポフ
  • BL出版
  • 2000年6月発刊

1ぴきのカエルが、美しい花を手にしていました。そこへ、ネズミがやってきて、その花をうばいとりますカエルは、仲間とともにネズミに仕返しをしました。すると今度はネズミが仲間を呼んできて、争いは果てしなく続いたのです・・・・・・。ほのぼのとした始まりとは対照的に、最後にはぎょっとするような結末がおとずれるこの絵本。なぜ争いはおこるのか、どうして争いはやまないのか、最後に何がのこされるのか・・・・・・。文字をいっさい使わず絵だけで描かれていますが、心に強く訴えかける作品です。

BL出版「なぜあらそうの?」

いつの時代も心に響いてしまうのが悲しい

この本が発刊されたのは25年前。
でも今もなお、世界で争いは続いています…
どうして戦争は起こってしまうのか、戦争の悲惨さ、ぐるぐると考えが止まりません。
最初はこんなに些細な出来事だったなら、ほんとうに悲しいですね。

聖なる夜に

  • 作・絵 ピーター・コリントン
  • BL出版
  • 2000年11月発刊

クリスマス・イブの晩に、ひとりのおばあさんが雪の中でたおれています。たきぎと食料を買うためのわずかなお金を、バイクに乗ったひったくりに奪われてしまったのです。それは、奇跡がおこる特別な夜。正しい行いをした者に救いの手がさしのべられ、すばらしい贈り物がとどく、聖なる夜です。しんしんと降る雪の中、おばあさんを助けにあらわれたのは、教会にまつられている人形の聖人たちでした。

BL出版「聖なる夜に」

宗教色が強いけど美しい絵

かさじぞうのようなお話なので、小さいお子さんにももちろん大丈夫です。
でも、キリスト教に関する知識があった方がより深く味わえるように思います。
大人びてきたこの時期だからこそ、こういったお話にも触れてほしい。
奇跡を信じたくなる心は大人も子どもも同じかもしれません。

中学生以上におすすめのサイレント・ブック

文章がないからこそ、深読みしたくなるものもあります。
サイレント絵本の沼へどっぷりとハマっちゃってください。

アライバル

  • 作・絵 ショーン・タン
  • 訳 小林美幸
  • 河出書房新社
  • 2011年4月発刊

世界各国多数の賞を受賞、世界中に衝撃を与えたグラフィック・ノヴェル、ついに刊行! 漫画でもコミックでもない、素晴らしいセンス・オブ・ワンダーに満ちた「文字のない本」。

河出書房新社「アライバル」

サイレント・ブックではなくグラフィック・ノベル

もはや絵本というにはボリュームが凄すぎるので、グラフィック・ノベルが正しいですが…
でも大人向けサイレント・ブックの世界に光を当てた作品だと思うのでご紹介。
読むたびに解釈が変わってしまうのも面白さのひとつですが、本当に頭を使う!
まだ読んだことがない方は勿体ないので、ぜひ一度読んでみてください。

アンジュール ある犬の物語

  • 作 ガブリエル・バンサン
  • BL出版
  • 1986年5月発刊

ある日、犬は、野の道を疾走する車の窓から投げすてられる。にわか野良になった犬のその日の長いさすらいをたどって描く。目を吸いよせて離さない50を超える犬の姿態と表情はすぐれたデッサンにより酷いばかりの迫真である。あるいはひとりに秘めておきたい絵と思い、誰かに見せずにはいられなくなる作品でもある。

BL出版「アンジュール ある犬の物語」

デッサンだからこそ心にくるものがある

愛犬家の皆さんには注意を促しておきたいくらい、この犬の表情に心揺さぶられてしまいます。
緻密に描かれた絵も素敵だけど、この作品においてはデッサンの余白がこちらの想像を引き立て、グッとくるのです…
ガブリエル・バンサンの作品はどれも心揺さぶってくるのでおすすめです。

旅する小舟

  • 作 ペーター・ヴァン・デン・エンデ
  • 訳 岸本佐知子
  • 求龍堂
  • 2021年11月発刊

これは小さな紙の舟が大海原を超えていく旅を描いた、文字のない絵本。
鬱蒼と生い茂る森を抜け、葉っぱの影をくぐり、氷山の間を、魚たちの集団を通り抜け、嵐や大波に飲まれそうになりながら、恐ろしい海の怪物たちの間も抜けて進む小舟。
小さな舟はいつも独りぼっち。
でも、独りだからこそ、波の上にも下にも広がる驚異的な自然の美しさ、素晴らしさに気づくことができる。
大人の読者も子どもの読者も、成長することや学ぶこと、そして人生のアップダウンや苦楽についても、この静かで力強い物語から大いなるインスピレーションを得られるだろう。

求龍堂「旅する小舟」

モノクロに広がるミステリアスで幻想的な世界

こちらは逆に緻密に描かれたモノクロの世界です。
よくみるとあちらこちらに不思議が潜んでいて、不気味にも思える。
小舟の旅の先には……いろいろ深読みしたくなっちゃう、不思議な作品です。

マイタケ
マイタケ

正直、めちゃめちゃ選ぶの大変でした!
サイレント・ブックの世界は奥が深い…
まだまだ名作があるんで、また年代別に深堀しますね!

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