1938年から毎年授与され続けている、アメリカの児童文学賞【コールデコット賞】。
受賞すれば作家としての地位は今後約束されたも同然と言われている賞です。
こちらの記事でもいくつか代表作を載せましたが、80年以上も続いている賞なので受賞作品も80作以上あるんです。
ここでは、今までの受賞作品を詳しく紹介していきます!
この記事では1980年から1999年まで!
- コールデコット賞受賞作品一覧③ 1980年~
- 1980年 『にぐるまひいて』
- 1981年 『ローベルおじさんのどうぶつものがたり』
- 1982年 『ジュマンジ』
- 1983年 『影ぼっこ』
- 1984年 『栄光への大飛行』
- 1985年 『Saint George and the Dragon』
- 1986年 『急行「北極号」』
- 1987年 『Hey, Al』
- 1988年 『月夜のみみずく』
- 1989年 『Song and Dance Man』
- 1990年 『ロンポポ』
- 1991年 『Black and White』
- 1992年 『かようびのよる』
- 1993年 『つなのうえのミレット』
- 1994年 『おじいさんの旅』
- 1995年 『スモーキーナイト――ジャスミンはけむりのなかで』
- 1996年 『バックルさんとめいけんグロリア』
- 1997年 『土でできた大男ゴーレム チェコの民話』
- 1998年 『Rapunzel』
- 1999年 『雪の写真家ベントレー』
コールデコット賞受賞作品一覧③ 1980年~
過去のコールデコット受賞作品と一部のオナー受賞作品について取り上げています。
※日本語版が出版されているものは日本語版を紹介しています。
初回の1938年~1979年までの受賞作品はこちらからどうぞ!
1980年 『にぐるまひいて』
作 ドナルド・ホール
絵 バーバラ・クーニー
訳 もきかずこ
ほるぷ出版
1980年10月発刊
対象年齢:4歳~
淡々とした日常が心に響く
バーバラ・クーニーの二度目の受賞となった絵本です。
どのページもそのまま飾っておきたいくらい一つの絵として完成度も高くて素敵なんです。
物語は農家の日常を淡々と描いたものですが、静かに流れる時が心に響きます。
現代日本の暮らしとはかけ離れた生活を子どもたちはどのように感じるでしょう?
1981年 『ローベルおじさんのどうぶつものがたり』
作 アーノルド・ローベル
訳 三木卓
文化出版局
1981年発刊
対象年齢:4歳~
ふたりはともだちの著者が描く短編集
絵本というよりは短編集といった方がしっくりきます。
動物たちが主役の20のお話が入っています。
最後には結構辛口な教訓があって、大人でも刺さるものも。
一日一話の読み聞かせもいいかもしれません。
1982年 『ジュマンジ』
作 クリス・ヴァン・オールズバーグ
訳 村上春樹
あすなろ書房 新訳版
2019年12月発刊
対象年齢:10歳~
ハラハラドキドキなボードゲーム
ある日拾ったボードゲームをやってみたら、マスに書いてあることが実際に起こってしまう。
そんなドキドキな展開に引き付けられます。
終わり方もいい!と思っていたら続編があるのですよ!
まだ読んだことがない方はぜひ。
なんと実際にボードゲームにもなっています。
この絵本を読んだ後にプレイすると、ドキドキが味わえちゃうかも。
映画はシリーズ化されているほど人気!
ちなみにこの『ジュマンジ』も『ザスーラ』も映画化されており、これまで4本の映画が公開されています。
最新作『ジュマンジ/ネクスト・レベル』は2019年の公開だったので、観に行かれた方もいるのでは?
シリーズ化された映画はさらなる続編が制作中という関係者の話も。
1983年 『影ぼっこ』
文 ブレーズ・サンドラール
絵 マーシャ・ブラウン
訳 おのえたかこ
ほるぷ出版
1983年12月発刊
対象年齢:6歳~
影がミステリアスで印象的な絵本
マーシャ・ブラウン3度目の受賞作品です。
毎回作風を変えることで有名な方ですが、日本でいちばん有名な『三びきのやぎのがらがらどん』と同じ人が絵を描いていると言っても信じられないですよね。
この絵本はアフリカのまじない師からインスピレーションを得て作られたそうで、そのミステリアスさが印象的です。
なんともいえない不思議な世界に迷い込んだような気がします。
オナーブックは『かあさんのいす』
作・絵 ベラ B.ウィリアムズ
訳 佐野洋子
あかね書房
1984年7月発刊
対象年齢:5歳~
一家を支える母を想う行動にぐっとくる
逆境においても前向きに生きる家族のあたたかさが胸に染みます。
いろんな物をなくしても、家族が支え合って生きていることが尊い。
頑張って働く大黒柱の母のためにと、思い合う姿にぐっときます。
悲壮感が感じられないのは、このあたたかでカラフルな色遣いのおかげかもしれません。
1984年 『栄光への大飛行』
作 アリス&マーティン・プロヴェンセン
訳 今江祥智
BL出版
2009年
対象年齢:
ドーヴァー海峡横断飛行を成し遂げた男の伝記絵本
伝記絵本と聞いて、つまんなさそう…と思っちゃうのは勿体ない!
偉業を成し遂げた方も家庭では一人のパパなんです。
たくさんの失敗をコミカルに描きつつ、軽やかに読ませてくれます。
絵もノスタルジック!当時の風景が伝わります。
残念ながら現在は絶版のようですので、図書館などで探してみてくださいね。
ちなみに一度出版されて絶版になっているのですが、その時のタイトルは『パパの大飛行』です。
図書館で探すときはそちらも合わせて検索してみてください。
1985年 『Saint George and the Dragon』
再話 Margaret Hodges
絵 Trina Schart Hyman
キリスト教の聖人伝説をもとに描かれた作品
聖ジョージというキリスト教の聖人がドラゴン退治をするお話です。
ドラゴンクエストを彷彿とさせますね。
絵が本当に美しくて、世界観をより引き立てています。
こちらは残念ながら日本語版未刊行作品です。
1986年 『急行「北極号」』
作 クリス・ヴァン・オールズバーグ
訳 村上春樹
あすなろ書房
2003年発刊 新訳版
対象年齢:7歳~
サンタクロースを信じたくなる絵本
クリス・ヴァン・オールズバーグ2回目の受賞となったこの作品。
クリスマスの絵本としてめっちゃおすすめ!
ファンタジーなのにどこかリアル感がある、素敵な雰囲気です。
熱量で分かると思いますが、わたしはこの方の絵本がとても好きです。
1987年 『Hey, Al』
文 Arthur Yorinks
絵 Richard Egielski
結局は住み慣れた場所がいちばん
狭い家に辟易していたビルと犬エディ。
そんなとき、鳥が空に浮かぶ島へ連れて行ってくれます。
楽園のような島がすっかり気に入ったビルと、エディにある変化が起こります。
我が家よりいいところはない、そんなオチながらも楽しいお話です。
が、残念ながらこちらも日本語版は未刊です。
1988年 『月夜のみみずく』
詩 ヨーレン
絵 ショーエンヘール
訳 くどうなおこ
偕成社
1989年3月発刊
対象年齢:6歳~
教科書にも載っている名作
冬の夜、お父さんと一緒にみみずくを探しにでかけた女の子のお話。
リズムの良い詩と迫力のある絵が素晴らしい。
会えるかどうかのワクワク感と、冬の森の静けさ、緊張感が伝わります。
高学年向け教科書にも掲載されているそうですよ。
1989年 『Song and Dance Man』
文 Karen Ackerman
絵 Stephen Gammell
対象年齢:3歳~
こんなおじいちゃん、スゴイ!
若い頃、ステージで踊っていたおじいちゃん。
ある日屋根裏部屋で、孫たちの前で取り出した昔の舞台道具、そしてダンス。
初めて観るおじいちゃんの姿にどんどん魅了されている孫たち。
そんなストーリーですが、残念ながら日本語版は未刊です。
1990年 『ロンポポ』
作・絵 エド・ヤング
訳 藤本朝巳
古今社
1999年10月発刊
対象年齢:10歳~
中国の民話を絵本化した作品
赤ずきんちゃんやおおかみと七ひきのこやぎを彷彿とさせる中国の民話です。
表紙でも分かるようになんだか不気味な気配はそこかしこに。
絵のうちの何枚かは隠し絵になっているそうですよ。
ぜひ探してみてください。
1991年 『Black and White』
作 David Macaulay
対象年齢:5歳~
4つのお話が同時進行していく
この表紙だけでも絵本では異色な感じがしますが、開いてびっくり。
見開きで4分割された画面で、それぞれのお話が同時進行していく斬新なスタイルの絵本なんです。
しかもそれぞれのお話は絶妙に絡み合い、何度もページを行き来したくなる感じ。
残念ながら日本語版は未刊です。
1992年 『かようびのよる』
作・絵 デヴィット・ウィーズナー
訳 当麻ゆか
徳間書店
2000年5月発刊
対象年齢:3歳~
映画をみているかのような展開
火曜日の夜、かえるたちが動き出した。
いや、正確にはかえるが乗った蓮の葉が動き出したのです。
とんでもないファンタジーなのにとってもリアルでミステリアスなのは写実性の高い絵のおかげでしょうか。
この作品は3度も受賞したレジェンド、デヴィット・ウィーズナー最初のコールデコット受賞作品です。
1993年 『つなのうえのミレット』
作・絵 エミリー・アーノルド・マッカリー
訳 津森優子
文溪堂
2013年3月発刊
対象年齢:6歳~
綱渡りに魅了された女の子のお話
舞台は100年近く前のパリ。
宿屋の娘ミレットは引退した綱渡り師に出会い、綱渡りに魅了されていきます。
そこから始まる二人の絆に胸がいっぱいになります。
絵も本当に素晴らしいので、ぜひ読んでみてください。
1994年 『おじいさんの旅』
文・絵 アレン・セイ
ほるぷ出版
2002年11月発刊
対象年齢:5歳~
日本生まれのコールデコット受賞作家
作者のアレン・セイ氏は日本生まれの日系アメリカ人。
そんな作者の祖父が日本からアメリカに旅立ち、アメリカで家族を持ち、日本への郷愁を深めていく。
家族で日本へ移ったものの、今度はアメリカへの思いも…
大人の方がぐっとくる絵本かもしれませんね。
1995年 『スモーキーナイト――ジャスミンはけむりのなかで』
文 イヴ・バンディック
絵 デイヴィット・ディアス
訳 はしもとひろみ
岩崎書店
2002年8月発刊
対象年齢:6歳~
ロサンゼルス暴動事件がモデルになった絵本
暴動、というと日本ではほとんど馴染みのないものかもしれません。
でも欧米ではよくニュースになっていますよね。
そんな暴動の中におかれた人々の交流から人種とは何か考えさせられます。
30年近く前の作品ですが、未だにこのような事件が起こっているのが悲しいですね。
1996年 『バックルさんとめいけんグロリア』
作・絵 ペギー・ラスマン
訳 ひがしはるみ
徳間書店
1997年10月発刊
対象年齢:5歳~
たのしい交通安全教室
バックルさんの交通安全教室は、安全メモを読み上げるだけなので子どもたちには飽きられています。
でも警察犬のグロリアが参加するようになってからは大盛況。
その理由がとても楽しい!
こんな交通安全教室ならわたしも行ってみたいです。
1997年 『土でできた大男ゴーレム チェコの民話』
作 デイビット・ウィスニーウスキ―
訳 まつなみふみこ
新風舎
2000年1月発刊
対象年齢:10歳~
迫害されるユダヤ人を守る物語
チェコ・プラハに伝わる民話をもとに切り絵で描かれた絵本です。
ユダヤ人の迫害が題材なので、小さな子には怖い描写があります。
ですが今も続くパレスチナ問題を思い起こし、大人も考えさせられる作品です。
残念ながら絶版のようですので、気になる方は図書館などで探してみてくださいね。
1998年 『Rapunzel』
作 グリム
絵 Paul O.Zelinsky
対象年齢:6歳~
ディズニー映画「塔の上のラプンツェル」の原作
日本でも人気のディズニー映画「塔の上のラプンツェル」、その原作がこちらです。
絵がとても繊細で美しく、見ていて飽きません。
残念ながら日本語版は未刊です。
オナーブック『リディアのガーデニング』
作 サラ・スチュアート
絵 デイビッド・スモール
訳 福本友美子
アスラン書房
1999年発刊
大恐慌時代のアメリカを舞台にした叔父と姪の交流
オナーブックは毎年いろいろ選ばれているので、中でも有名な絵本をご紹介してきました。
でも、この絵本はさほど知名度がありません。
それでもわたしがだいすきな絵本の一つなので、取り上げました。
文章は手紙形式で、絵がその背景を浮かび上がらせてくれるタイプの絵本。
気難しいおじさんとリディアのやり取りにほっこりして、最後は絵にグッとくる!
何度も読み返しちゃう、大好きな作品です。
1999年 『雪の写真家ベントレー』
作 ジャクリーン・ブリッグズ・マーティン
絵 メアリー・アゼアリアン
訳 千葉茂樹
BL出版
1999年発刊
対象年齢:6歳~
雪の結晶の専門家の伝記絵本
わたしたちが当然のように雪の結晶と聞いて思い浮かべる形。
そんな結晶の写真を何千枚も残した研究家の人生を描いた絵本です。
どうしても親の目線で見てしまいますが、この親御さんも本当に素敵。
実際にベントレー氏が遺した本もどうぞ。
2000年以降の受賞作品はこちらからどうぞ!
コメント