
夏至って、なんで6月なのに夏って書くの?

たしかに!旧暦と関わりがありそうだね。
調べてみよう!
もうすぐ夏至の季節。
夏至といえば、一年でいちばん昼の時間が長い日ですね。
でもどうして夏至と呼ばれているのか?
世界ではどんな扱いなのか?
あまりよく考えたことはないかもしれません。
今回は夏至について深堀りして、そんな会話ができる絵本を読み聞かせしてみましょう!
・二十四節気“夏至”にまつわる絵本が知りたい
・そういえば何で夏至って書くのか疑問だ
・自主学習におすすめの題材を探している
・季節にぴったりの読み聞かせがしたい
二十四節気“夏至”について
二十四節気とは?
一年の季節を春夏秋冬、それをさらに6分割し、12の節気と12の中気に分類したものに、季節を表す名前をつけたものです。
今使用されている新暦で表すと、毎年日付が多少前後することがあります。

もともとは中国で発明されたものなんだって!
夏至ってどんな季節?
他の多くの二十四節気とは違い、夏至は天文学的な要素が強いイメージがあります。
一年でいちばん昼が長い日は、太陽が真南に来たときの位置がいちばん高くなる日。
ちなみにこれは日本が含まれる北半球のお話で、南半球では逆にいちばん夜が長くなります。
季節的にはちょうど梅雨本番。
じめじめした雨が続く季節ですね。
どうして夏と書くの?
現代を生きるわたしたちには、梅雨本番な時期に夏と言われてもピンとこないですよね。
ですが明治まで使われていた太陰暦(旧暦)では四月から六月が夏と定義されており、現代では五月から七月ごろにあたります。
その旧暦では、夏至は立夏から始まる夏のちょうど真ん中ごろになるのです。
夏に至るという字の通り、本格的な夏を意味しているのですね。
さらに細分化された七十二候では
二十四節気のひとつを初候、二候、三候と三等分したものが七十二候です。
白露の中にも三つの候があります。
初候【乃東枯】なつかれくさかるる……夏枯草(ウツボグサ)が枯れる
二候【菖蒲華】あやめはなさく……菖蒲(あやめ)の花が咲く
三候【半夏生】はんげしょうず……半夏(カラスビシャク)が生える

より具体的な描写で季節感が伝わるね!
夏至にまつわる風習
他の節気は中国や日本の季節が反映されたものですが、夏至と冬至は天文学的な要素もあることから世界的な風習もあります。
その中からいくつか紹介します。
夏至祭(ミッドサマー)
夏至やその近くの日にヨーロッパで行われています。
国によってさまざまな風習があり、スウェーデンでは祝日とされており白夜の中朝までお祝いします。
イギリスではストーンヘンジで行われるものが有名で、毎年多くの人が集まっているんです。

日本でも三重県の二見興玉神社で夏至祭が行われていますよ!
食べもの
日本は夏至祭のような大規模なお祭りは少ないですが、食べ物にまつわる風習は多く残されています。
この時期に食べると言われているものを地域ごとにご紹介します。

半夏生の文字があるものは、三候の半夏生に食べられているんだって!
二十四節気“夏至”に読みたい絵本
“夏至”がどんな季節か分かったところで、そんな季節にぴったりの絵本を選んでみましょう。
お子さんと一緒に「今日は昔の暦で夏至っていう日なんだって~」という会話が生まれるといいなと思っています!
リーサの庭の花まつり
「リーサは、お花といっしょに夏至まつりがたのしめるね」 リーサはこのことばを、心のなかで、なんどもくりかえしてみました。きょうの夕方は、花たちがどこかいつもとちがっています…。
Amazon「リーサの庭の花まつり」商品説明より
上で紹介したスウェーデンの夏至まつりを美しく描いた作品です。
夏至の精をはじめ、数々の花の精たちの愛らしさにうっとりしちゃいます。
北欧ではミッドサマーがどれほど大切にされているのか、この1冊だけでも伝わってきます。
いちじくにんじん
古くから歌い継がれているわらべ唄の中に”かぞえ唄”と呼ばれるものがあります。なかで一番ポピュラーなものが「いちじくにんじんさんしょにしいたけ……」です。全国で歌われていますが、地方によって様々なヴァリエーションがあります。この絵本では、伝統的な歌をもとにして、今の子どもたちにもなじみのある、リズムのよい野菜を選んで、美しく精密な絵をつけました。親子で歌いながら楽しめる絵本です。
福音館書店「いちじく にんじん」
夏至そのものを扱った絵本は少ないので、夏至に食べている地域がある食べ物を扱った絵本です。
愛知県の一部では夏至の日にいちじく田楽という、いちじくに田楽みそをつけたものを食べる風習があります。
また、全国的にはとうがんを食べる地域も多いそうです。
そんな二つの食材がこちらのかぞえうたには出てきます。
昔から日本人にも馴染の深い食材だったんでしょうね。

ここからは、二十四節気をさらに細分化した七十二候に関する絵本を紹介します。
初候【乃東枯】なつかれくさかるる
なつかれくさとは、夏枯草。カゴソウとも呼ばれていますが、ウツボグサのことです。
鮮やかな紫色の花穂をつけますが、夏になるとその花穂だけが枯れたように色褪せてしまうことからそう呼ばれているようです。
その色褪せた花穂を乾燥し、口内炎や扁桃炎などの生薬としても用います。

生の花穂や若芽は天ぷらにして食べられるし、ウツボグサ茶は暑気払いにも!
食べられる草なんだね!
おいしい野草
せっかくなので食べられる野草について学んでみるのもたのしいですよ!
よく見かけるあんな草も食べられるの!?とびっくりしちゃいます。
昔の人びとにとっては常識だったのでしょうが、現代の私たちには貴重な知識ですよね。
ハーブをたのしむ絵本
ハーブって、実はとっても育てやすいって、知っていますか?
あすなろ書房「ハーブをたのしむ絵本」
タネをまいてから、葉や花、そして実を利用するハーブは、ハーブティ、ポプリ、そしてお料理の材料など、様々な楽しみ方があります。
育て方の基本、種類、歴史から、いろいろな活用法まで!
ミント、バジル、ラベンダーなど、全47種のハーブをイラストでわかりやすく紹介します。
子どもから大人まで、楽しく学べるハーブ入門えほんです。
薬草といえばハーブも含まれますね。
おばあちゃんに教わっているうちに、自分でも育ててみたくなっちゃいます。
これはどんな効能があるのかな?なんて楽しみながら読んでください。
二候【菖蒲華】あやめはなさく
菖蒲、しょうぶとも読みますがあやめとも読みます。
端午の節句で使われるのはしょうぶの方ですが、こちらの七十二候ではあやめの方です。
しょうぶ、はなしょうぶ、あやめ、かきつばた…似ている花が多くてややこしいですね。
野の花えほん 春と夏の花
すみれ、れんげ、なずななど、春から秋にかけていっせいに花開く野の草花をイラストで紹介。花や葉を使った遊び、実のおいしい食べ方など、草花の様々な楽しみ方がつまった絵本。
あすなろ書房「野の花えほん 春と夏の花」
こちらの絵本ではたくさんの身近な花が取り上げられています。
あやめやしょうぶ、かきつばたの違いも!
ぜひじっくり観察して違いを見極めてみてください。
ライオンをかくすには
ぼうしをかいに、町にやってきたライオン。少女・アイリスは、庭に逃げてきたライオンを、子ども部屋にかくしてあげることにしました。けれども、そうかんたんにはいきません。大きいし、もじゃもじゃだし、なにしろ重たいんです! さて、アイリスは、いつまでライオンをかくしておけるでしょうか……
ブロンズ新社「ライオンをかくすには」
あやめとよく似た花にはアイリスもあります。
ジャーマンアイリスとも呼ばれており、花にもわずかな違いが見られます。
そしてアイリスという名前もメジャーなもののひとつ。
こちらはアイリスが主人公の楽しい絵本です。
三候【半夏生】はんげしょうず
半夏とよばれる烏柄杓(カラスビシャク)が生えるころを指しています。
農家にとっては大切な日で、この日までに田植えを終える目安とされています。
この日の前後を休みとしていたり、ハンゲという妖怪が徘徊すると言われている地方もありますが、この日ならではの食べ物を食べる風習があるところが多いですね。
たこなんかじゃないよ
昼寝から目覚めたタコは、サンゴの穴から出てくると散歩に出かけました。魚がくると「タコなんかじゃないよ」とサンゴの色になって身を隠し、あっというまに魚をつかまえます。オオウツボがきたので海草の色になりましたが、見つかって足を1本かみきられました。そこで墨をはきかけ、こんどは砂の色になって砂地にもぐりこみます。タコの生態を美しい海中の風景とともに描きます。
福音館書店「たこなんかじゃないよ」
関西で半夏生の時期に食べられているのがタコ。
田植えを終えた稲がタコの足のようにしっかり根付いてほしいという願いが込められていると言われています。
そんなタコの海中での生態を詳しく描いたこちらの絵本。
タコを食べながら見るのには向いていないかもしれませんが、大人もへえとなる1冊です。
うしかたやまんば
暗い峠道で、牛方は山姥と出会います。運んでいた鯖ばかりか、牛までも食べられた牛方は、命からがら逃げます。やっとたどり着いた家は、なんと・・・。千葉幹夫先生の文章とスズキコージ先生の絵でお贈りします。
Amazon「うしかたやまんば」商品説明より
福井県の一部では半夏生の日には焼き鯖を食べるのが定番となっています。
江戸時代の藩主が夏バテ防止策として焼き鯖を食べることを奨励したのが始まりだそうです。
鯖といえばこちらの昔話にも出てくるように、身近な魚の一つですよね。
ちなみに半夏生鯖と書いてはげっしょさばと読むそうです。
うどんできた!
小麦粉からうどんを作ろう。粉と塩水をまぜまぜ、こねこね、それから足で踏むんだよ。小麦粉が「粉→おだんご→麺」と変身していく様子を質感までリアルに描いた、とても“おいしそう”な絵本です。粘土遊びのような楽しさと、自分の口に入るものを自分で作る喜びを、子どもたちに! 自分で作ったうどんは特別のおいしさです。
福音館書店「うどんできた!」
香川といえばうどん、それこそ季節に関係なく食べているイメージですが、特に半夏生の日には農家の方々が農作業を手伝ってくれた皆さんにうどんを振舞うという風習があるそうです。
半夏生は大体7月2日ごろになるということから、この日はうどんの日に制定されています。
この絵本を見て、うどんを手作りしてみても楽しいかもしれませんね。

二十四節気でえらぶ絵本でより一層身近に四季を感じてくださいね!
9月の二十四節気“白露”に読みたい絵本はこちら。
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