
2026年の冬季五輪はミラノと、コルティナ…?

コルティナ・ダンペッツォ、イタリア北部にある都市だよ。
せっかくだから絵本を通してイタリアについて知っていこう!
4年に一度のスポーツの祭典、オリンピック。
2026年に行われる第25回の冬季五輪は、イタリア北部都市のミラノとコルティナ・ダンペッツォで開催される予定です。
ミラノは有名な都市ですが、コルティナ・ダンペッツォは初めて聞く方も多いかもしれません。
こういう時こそ子どもたちと見識を深めるチャンス!
絵本を読み聞かせる時間に楽しくお話ができるように、一緒に知識を仕入れていきましょう。
・イタリアの絵本が気になる
・ミラノ・コルティナ冬季五輪に絡めてイタリア絵本の読み聞かせをしたい
・イタリアの絵本事情を知りたい
イタリアについての基本データ

2026冬季オリンピックはミラノとコルティナの共催
ミラノは首都ローマに次ぐ世界的都市!
世界的ファッションデザイナーの新作発表会、ミラノ・コレクションが開催されていることからも分かるように、古くから服飾や繊維などの産業が盛んです。
世界最大級のゴシック建築であるミラノ大聖堂や、レオナルド・ダ・ヴィンチの「最後の晩餐」が食堂の壁に描かれているサンタ・マリア・デッレ・グラツィエ教会、格式高い歌劇場であるスカラ座など、文化的にも貴重で美しい建築物を遺す都市でもあります。

ミラノ風カツレツやリゾット・アッラ・ミラネーゼなど、名前にミラノがつくものもあるようにグルメも人気ですね!

コルティナ・ダンペッツォはスキーリゾートで人気!
わたしたち日本人にとってはあまり馴染みのない地名ですが、実はコルティナ・ダンペッツォで冬季五輪が開催されるのは二度目です。
1944年に開催される予定でしたが第二次世界大戦の為中止となり、その後1956年に第7回が開催されています。
この第7回冬季オリンピックは初めてテレビで中継されたことも知られています。
人口は約6000人ほどの小さな村ですが年間の宿泊者数は100万人を超えており、世界各地から観光客が訪れています。
ドローミティ(ドロミテ)の山々に囲まれた地は登山やウインタースポーツが発展し、大型ホテルや高級ブティックが立ち並ぶようになり、世界有数の観光地として成り立っているのです。
イタリアの絵本事情
イタリアで絵本といえば、まずはボローニャの名前が浮かぶ方も多いかもしれません。
世界最大級の児童書ブックフェア、ボローニャ国際児童図書展(Bologna Children’s Book Fair)は毎年多くの関係者から注目を集めています。
ボローニャ国際児童図書展(Bologna Children’s Book Fair)
イタリアの絵本事情を語るのに欠かせない存在が、ボローニャ国際児童図書展(Bologna Children’s Book Fair)。
イタリア北部にある都市ボローニャで毎年春に開催されている児童文学の見本市です。
何が行われている??
絵本作家や児童文学作家、イラストレーター、出版関係者、編集者など、子どもの本に関わる人たちが集まる、児童文学界では世界最大のブックフェア。
出版社による版権の交渉だけでなく、展覧会やワークショップ、講演会など様々なイベントが行われています。
ボローニャ国際児童図書展が主催するコンクール「ボローニャ国際絵本原画展」が併催されたり、国際的な児童文学賞「ボローニャ・ラガッツィ賞」の授与が行われたりもしています。
今年は3月31日から4月3日まで行われました
今年も春に開催され、ボローニャ・ラガッツィ賞が発表されました。
ボローニャ国際絵本原画展では日本人6名を含む77名が入選しています。
このブックフェアでは参加国の中からひとつを主賓国としています。
今年はエストニアが主賓国となり、エストニアの画家の作品展示やワークショップが行われました。
国際アンデルセン賞も発表される
ボローニャ国際児童図書展(Bologna Children’s Book Fair)では隔年ごとに国際アンデルセン賞も発表されます。
主催者のIBBYが会見を行って発表します。
ボローニャ国際絵本原画展
絵本原画と銘打っているだけあり、絵本のコンクールではありません。
5点1組のイラストがあれば誰でも応募することができるコンクールです。
審査員は絵本の専門家ですが、審査自体は既に絵本になっているものも未発表作品も公平に行われます。
ここでの入選を機に絵本作家としてスタートする方も多く、絵本作家の登竜門のひとつとしても有名です。

日本でもこの原画展が巡回しているので、入選作品を見ることができます!
ボローニャ・ラガッツィ賞
ボローニャ国際児童図書展(Bologna Children’s Book Fair)に登録された本の中から特に優れたものに贈られる賞です。
他の賞と違うのは、作家や画家に贈られるのではなく本そのものに贈られるというところ。
装丁などのデザインや編集などの仕事も含めて評価される賞なのです。
部門も豊富で、フィクションやノンフィクションだけでなく、オペラプリマ部門や赤ちゃん絵本部門、漫画部門まであります。
また、毎年事務局が指定した特定分野の作品を表彰する特別部門として2025年はサステナビリティの部が設けられました。
ボローニャ・ラガッツィ・クロスメディア賞も同時に授与されており、これは本を中心に複数のメディアで物語の世界を展開するプロジェクトを顕彰するものです。
こちらにもクロスメディアプロジェクトの部とデジタル読書体験の部があります。

デジタル読書体験…今っぽい!
年々進化し続けている児童文学賞なんですね~
イタリア・アンデルセン賞
国際アンデルセン賞と紛らわしいかもしれませんが、こちらはイタリア国内でもっとも権威ある児童文学賞の一つとされている賞です。
児童文学の月刊誌『アンデルセン』が主催しており、前年にイタリアで出版された児童書を様々な部門別に顕彰しています。
国際アンデルセン賞と同じく、これまでの功績を基準に選定される最優秀作家賞・画家賞も発表されています。
イタリアを代表する絵本作家
ここではイタリアといえば!な絵本作家さんを紹介します。
世界的に活躍したイタリア人作家や、イタリア在住で活動している作家も。
ジャンニ・ロダーリ(1920-1980)
イタリアの児童文学界を代表する巨匠。
作家でもあり、詩人、ジャーナリストとしても活躍しました。
最初は教員として何年か仕事をしていましたが、第二次世界大戦を機にジャーナリストの世界へ。
その後、1950年代から子ども向けの作品を発表し始め、たちまち人気になりました。
1970年には国際アンデルセン賞作家賞を受賞しています。
おすすめは『キーウの月』
ウクライナ・キーウの月は、わたしたちが見上げている月と同じ月。世界的作家・ロダーリの絵本を、ウクライナ救援のために緊急出版。
Amazon「キーウの月」商品説明より
ウクライナ侵攻が始まった2022年、世界中がウクライナに注目する中で出版された絵本です。
ロダーリの美しい詩にあたたかみのある絵をつけて、みんながキーウの人びとを想う、そんな作品に仕上がっています。
ブルーノ・ムナーリ(1907-1998)
ミラノ生まれの美術家。
絵本作家だけでなく、デザイナーとしても様々なグラフィックデザインやプロダクトを生み出しました。
日本の詩人・瀧口修造との交流から日本でも展覧会が開かれたり、折り紙や漢字にも興味を持っていたため影響を受けた作品があったりと、日本でも馴染みのある方です。
1940年に息子が生まれ、与えたい絵本がないということで自作したのが絵本作家として作品を生み出したきっかけです。
10作品制作しましたが、日本で出版されているのは9冊。
1冊は残念ながらオリジナル版が行方不明になってしまったそうです。
おすすめは『きりのなかのサーカス』
冬、自然は眠る、そして夢を見る、すると霧があらわれる。霧の中を歩くのは、自然の夢の中をさまようようなものだ。ブルーノ・ムナーリの名作絵本が、谷川俊太郎の新訳でついに復刊。
版元ドットコム「きりのなかのサーカス」
霧の景色をトレーシングペーパーで表す手法は大人も唸ってしまいます。
文章よりはとにかくアートな世界にひたってほしい!
ブルーノ・ムナーリのグラフィックデザイナーとしての才能に圧倒される世界です。
イエラ・マリ(1931-2014)
グラフィック・アートのサイレントブックでお馴染みのイエラ・マリはミラノ生まれ。
絵本作家だけでなくグラフィックデザイナーとしても活動しました。
夫であるエンゾ・マリとの『りんごとちょう』がデビュー作です。
絵本は9冊発表し、日本語版は6冊出版されています。
代表作『あかいふうせん』
ぼうやのふくらませた風船がリンゴ、ちょう、お花と変わっていきます。ページを開くごとに新しいできごとが、リズムを持って展開していきます。新鮮な文字なし絵本の傑作。
ほるぷ出版「あかいふうせん」
一度見たら忘れられない表紙ですが、中身も楽しい。
ふうせんが次々に姿を変えていく様子に、子どもたちは夢中になります。
サイレント・ブックなので自由にお話を作って楽しむこともできます。
ロベルト・インノチェンティ(1940-
フィレンツェ生まれのイラストレーター。
18歳でローマのアニメスタジオで勤務を始め、独学で絵を学んでいき、アニメだけでなく本の装丁やポスター原画などを手掛けるように。
絵本でもその緻密な世界観は健在で、2008年には国際アンデルセン賞の画家賞を受賞しました。
おすすめは『百年の家』
1軒の古い家が自分史を語るように1900年からの歳月を繙きます。静かにそこにある家は、人々が1日1日を紡いでいき、その月日の積み重ねが100年の歴史をつくるということを伝えます。自然豊かななかで、作物を育てる人々と共にある家。幸せな結婚を、また家族の悲しみを見守る家。やがて訪れる大きな戦争に傷を受けながら生き延びる家。そうして、古い家と共に生きた大切な人の死の瞬間に、ただ黙って立ち会う家。ページをめくるごとに人間の生きる力が深く感じられる傑作絵本が、ここに……。
Amazon「百年の家」商品説明より
まるで映画を観ているかのような感覚にさせられる絵本です。
ワンシーンどこをとっても物語があり、じっくりを絵を味わいたくなります。
絵を見ているだけでも楽しめますが、大人にこそいろいろ感じ取っていただきたい作品です。
イタリアで活動する絵本作家
イタリア人ではなくとも、イタリアに在住してかつイタリア人ではなくとも、イタリアに在住して活動している絵本作家さんもたくさんいます。
ここではそんな作家さんを紹介します。
レオ・レオニ(1910-1999)
オランダ生まれですが、両親の仕事の都合でアメリカやベルギー、イタリアなどで育ち、その後もアメリカへの亡命など当時の世界情勢で移動を余儀なくされました。
絵本作家としての活動はイタリアのラヴァーニャへ帰国してからになります。
列車で騒ぐ孫を鎮めるために手元の雑誌をちぎってお話を始めたのがきっかけと言われています。
アメリカ児童文学賞の権威、コールデコットのオナー・ブックに何度も選出。
エリック・カールの作品を気に入り、絵本の仕事を勧めたことも知られています。
代表作『スイミー』
小さな黒い魚スイミーは、兄弟みんなが大きな魚にのまれ、ひとりぼっちに。海を旅して出会った仲間と大きな魚に立ち向かいます。
好学社「スイミー」
言うまでもなく日本人ほとんどがみんな知っているこの作品。
国語の教科書でお馴染みの名作ですね。

レオ・レオニの作品はこちらの人気ランキングにも!
刀根里衣(1984-
福井県生まれ、イタリア・ミラノ在住の絵本作家。
2011年にイタリアで絵本作家としてデビューし、日本でも多くの作品が刊行されています。
2012年から2年連続でボローニャ国際絵本原画展に入選し、2013年には日本人で初めて国際イラストレーション賞を受賞しました。
おすすめは『モカと幸せのコーヒー』
物語は小説家志望の青年の独白で進む。日常に疲れ、傷ついた青年の前に突然現れたのは、白くて小さいうさぎのモカ。冷え切った青年の心を溶かし、希望に満ちあふれていた過去を思い出させてくれたのは、モカとその仲間がつくる幸せのコーヒーだった…。
「だいじょうぶ、泣いていいんだよ。モカはずっときみのそばにいるよ」
Amazon「モカと幸せのコーヒー」商品説明より
この絵本を手にとったすべての人の心をポカポカに温めてくれる、涙のラストシーンをお楽しみに!
とにかくかわいいモカに癒されまくる絵本です。
刀根さんの絵は幻想的な雰囲気で優しい色使いが印象的ですが、こちらの作品もどのシーンも飾っておきたいくらい素敵な絵ですよ!
下の記事ではこの作品を詳しく取り上げています。
イタリアの昔話絵本
イタリアで語り継がれてきた昔話や民話の絵本を紹介します。
ピノキオの冒険【新装版】
世界中の子どもたちから愛されているイタリア児童文学の傑作、『ピノキオの冒険』。
西村書店「ピノキオの冒険【新装版】」
2008年に国際アンデルセン賞を受賞した画家インノチェンティが、緻密でリアルな挿し絵を描きました。
従来の絵本とはまったく違う新しいピノキオの世界をお楽しみください。
イタリアの童話といえばピノキオ!
上でも紹介したロベルト・インノチェンティが絵を担当した豪華すぎる絵本です。
まるで画集のように緻密に描かれた絵でピノキオの世界にどっぷりと浸ってください。
まほうつかいのノナばあさん
ノナばあさんはカラブリアの町に住む魔法使い。スパゲッティの出てくる魔法のかまを持っています。のっぽのアンソニイがスパゲッティを出すおまじないを知ってしまったことから、町にとんだ騒動が……。
ほるぷ出版「まほうつかいのノナばあさん」
こちらはイタリアに古くから伝わるお話をもとに描かれたものです。
でもこのストーリー、どこかで…?そう、教科書にも載っている「おいしいおかゆ」!
そのスパゲッティ版ともいえるお話です。
子どもたちにとっては、おかゆよりもスパゲッティで溢れる方がいいかもしれませんねw
ちなみにこちらの絵本、クオリティの高いしかけ絵本バージョンもあります。
プレゼントにもおすすめですよ!
梨の子ペリーナ
梨と一緒にかごに入れられ王様の宮殿にやってきたペリーナは、召使として働くことに。心優しいペリーナは誰からも好かれ、王子とも仲良くなりました。ところが、ありもしないうわさを流され、魔女の宝をとってこいと、 宮殿を追い出され・・・。理不尽な目にあいながらも、率直で綺麗な心であり続け、出会う不思議なものたちの苦しみを解放しながら、魔女の宝を探しにいくペリーナ。その勇敢で清らかな姿に胸をうたれます。
BL出版「梨の子ペリーナ」
大人にもファンが多い酒井駒子さんが絵を手掛けたイタリアの昔話です。
酒井さん独特の幻想的な雰囲気が、昔話の世界をよりミステリアスに、より美しくしています。
どのページも飾っておきたいほど素晴らしい絵ですよ。
イタリアが舞台になっている絵本
ここではイタリアをより味わえる、イタリアが舞台となっている絵本を紹介します。
旅しているような気分を味わってください。
旅の絵本Ⅱ(改訂版)
世界中の読者を魅了し続けている安野光雅の「旅の絵本」シリーズの第2巻目。明るい空の下、美しい風景、街並みが続きます。そしてその中に隠された遊び絵の数々……。〈イタリア編〉は1978年に初版が出版されましたが、それ以降の同シリーズとは印刷・製版方法が違っていたため、色の鮮やさにやや欠けるところがありました。そこで、今回、全画面を着色しなおし、より美しくて、より楽しい「改訂版」として生まれ変わりました。
福音館書店「旅の絵本Ⅱ(改訂版)」
このシリーズは、その地へ行ったことがある人ほど感動するかもしれません。
リアルで緻密に描かれた街並みの中に、数々の遊びが隠されています。
騙し絵などもお手の物な安野さんならではの素晴らしい作品ですね!
イタリアへ旅する気分を存分に味わえる1冊です。
世界のまんなかの島 〜わたしのオラーニ〜
イタリア・サルデーニャ島の小さな村オラーニでは、いつでも何かが起きている。すぐそこ、手がとどく場所で。 おばさんたちがパンを焼き、子どもたちは路地を駆け回り、結婚式があれば輪になって踊る。 ニューヨークの少女が父の故郷オラーニ村で過ごした夏の思い出を、みずみずしく細やかな筆致で描いた美しい絵本。
Amazon「世界のまんなかの島 ~わたしのオラーニ~」商品説明より
もちろん行ったことはない島ですが、どことなくその風景が懐かしく感じるのはなぜでしょう。
周りの景色は違えど、こんなふうに自然に囲まれて過ごした記憶が蘇ってくるせいでしょうか。
オラーニの路地を一緒に巡っているような気分になれます。
イタリアでも人気の絵本
イタリアの子どもたちはどんな絵本を読んでいるの?
現地・イタリアで人気の日本語でも読める絵本を集めてみました!
あおいよるのゆめ
スライド式の仕掛けを指で動かして遊ぶボードブック「ちいさな ゆびで」シリーズ。夜空に星を浮かべたり、チューリップの花を咲かせたり、空に虹を描いたり。やさしいことばと楽しいしかけ、はじめての絵本にもおすすめの一冊。
ワールドライブラリー「あおいよるのゆめ」
SNSでも人気の、指でスライドするしかけ絵本です。
大人が見てもテンションが上がってしまうような素敵なしかけ!
絵も素敵なので、プレゼントにもおすすめ。

定価1,980円のこの人気絵本を送料税込1,300円で手に入れる方法もあります!
Amazonなどで気軽に購入もできますが、こういうオシャレ海外絵本に興味があるなら出版元のワールドライブラリーさんの定期購入もオススメ!
1歳から7歳まで、毎月配本のラインナップが決まっている月額1,300円の海外絵本サブスク「WORLDLIBRARY Personal」では1歳6か月の配本が『あおいよるのゆめ』になっています。
『ようせいたちのもり』『絵のすきなライオン』など他にもイタリアの絵本も。
イタリアだけでなく、いろんな国で人気の絵本が毎月届きます!

次回の夏季オリンピックはロス!
ロスのあるアメリカの定番人気絵本はこちらからどうぞ~

フランスの絵本も人気です!
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