「虎がバターになる絵本」は何?ちびくろサンボのあのシーン解説

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親世代は懐かしい、虎がバターになっちゃう絵本で思い出す作品!

一時期は発売中止?絶版?人種差別?など色々騒がれて話題になりました。

きっと多くの方は岩波書店版の赤い表紙を思い浮かべるのではないでしょうか。

でも実は虎がバターになるあの話、『ちびくろサンボ』の絵本は1種類ではありません。

昔は70種類以上出版されていた時代もあり、イラストや表現、内容のニュアンスが違うものも存在します。

そして現在は、今手に入るもの・入らないものもはっきり分かれています。

この記事では
・虎がバターになるあのシーンはどんな話なのか
・今読める『ちびくろサンボ』はどれなのか
・昔の絵本との違い
・絶版になった背景
をまとめて分かりやすく紹介します。

「どれを買えばいい?」「昔読んだのはどの版?」と迷っている方は、ぜひ参考にしてください。

こんな方におすすめ
  • 昔読んだ『ちびくろサンボ』をもう一度読みたい
  • 虎がバターになる話を子どもに説明したい
  • 今手に入るサンボの絵本を知りたい
  • 昔の版との違いを知りたい
この記事でわかること
  • 今購入できる『ちびくろサンボ』
  • 昔出版されていた日本語版サンボの種類
  • 虎がバターになるシーンの意味と魅力

『ちびくろサンボ』がなぜ絶版となったのか知りたい方はこちら

ちびくろ・さんぼ の基本データ

岩波書店(瑞雲舎) 1953年発刊(2005年復刊) ◆3歳~
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『ちびくろ・さんぼ』は、1900年代初頭にイギリス人作家ヘレン・バンナーマンによって作られた物語です。

日本では1953年に岩波書店から出版され、『岩波子どもの本』シリーズの初回配本のひとつとして広く読まれるようになりました。

対象年齢の目安は3歳頃から。

ただしストーリー性がしっかりあるため、小学生になってから改めて読む子も多い作品です。

虎がバターになるってどういう話?

主人公のサンボは、両親から新しい服や靴をもらい、嬉しくて外へ出かけます。

しかし途中で4匹のトラに出会い、食べられない代わりに服や持ち物をひとつずつ渡すことに。

トラたちは手に入れた物をめぐって争い始め、やがてお互いのしっぽをくわえて木の周りをぐるぐる回り続けます。

するとトラたちは溶けて、ギー(インドのバター)になってしまいます。

そのバターを使って、サンボの家族はパンケーキを作って食べる――という、とてもインパクトの強い結末です。

Wikipediaの詳しいネタバレあらすじを見てみる

主人公は、父ジャンボ・母マンボと一緒に暮らしている男の子、サンボである。

両親から新しい紫の靴・赤い上着・青いズボン・緑の傘をもらったサンボは、ジャングル(竹藪)に出かける。しかし通りかかった4頭のトラたちに喰われそうになり、身に着けたものを一つずつ与えることで許してもらう。サンボは裸にされ、号泣する。

一方4頭のトラたちは、戦利品を奪い合って尻尾を噛んで輪になって木の周りをぐるぐる回りはじめる。その間にサンボは、与えたものをすべて取り返すことに成功する。トラたちは最終的に溶けてギー(インドのバター)になってしまう。サンボ一家はそのギーでパンケーキを焼く。マンボは27枚、ジャンボは55枚、サンボは169枚も食べた。

ちびくろ・さんぼ の作者は?

原作者はヘレン・バンナーマン

イギリス人のお母さんですが、当時は植民地であったインドに軍医であった夫と子どもたちとともに暮らしていました。

『ちびくろ・さんぼ』など様々な絵本を子どもたちのために手作りしていました。

イギリスで出版するために知人に預けた『ちびくろ・さんぼ』手のひらサイズの原作は、結局ヘレンのもとには戻らなかったそうです。

版権まで手放されてしまい、改変につぐ改変で海を越えてしまいました。

彼女の気持ちは多くは残されていませんが、さんぼの扱いをどのように感じていたのでしょう…

岩波版の絵はフランク・ドビアス

オーストリア出身の画家で、のちにアメリカに移住して『ちびくろ・さんぼ』の挿画を描きました。

日本では名前を知られていますが、世界的にはそうではないため没年も不明となっています。

岩波版の『ちびくろ・さんぼ』出版の際に盗作のような絵が描かれていても見逃されたのは、当時既に没していたからだろうと言われています。

訳者・編集は光吉夏弥

『岩波子どもの本』創立者の一人でもある翻訳家です。

この方なしに日本の児童文学は語れないと思います。

数えきれないほど多くの翻訳絵本を世に送り出してくださいました。


しかし当時は著作権への意識が世の中全体で低かったこともあり、今では考えられないような編集がなされたものもあります。

『ちびくろ・さんぼ』もそのひとつでした。

なぜこんなに印象に残る?『ちびくろサンボ』の魅力

衝撃的すぎる、とらのバター

とらが回るとバターになるってどういうこと?

子どもながらにそう思った人、多いはず。

でもその意味不明だけど忘れられない展開が、この絵本の最大の魅力でもあります。

読み聞かせをしていても、ここで子どもの反応が一番大きくなることが多いです。

山盛りすぎるパンケーキ

トラのバターで作ったパンケーキを、サンボは169枚も食べます。

このありえない量が、子どもの想像力をすごく刺激するんですよね。

大人だって憧れる気持ちは分かりますよね。

実は『ぐりとぐら』にも影響?

『ぐりとぐら』の作者・中川李枝子さんは、保育士時代に『ちびくろサンボ』に夢中な子どもたちを見ていたそうです。

「物語の中なら、もっとすごいごちそうを出せる」

そう考えて生まれたのが、あの大きなカステラのシーンだったと言われています。

つまり『ちびくろサンボ』は日本の絵本文化にも影響を与えた作品なんです。

日本語版『ちびくろサンボ』は実はたくさん存在する

ここから少し意外な話です。

実は『ちびくろサンボ』は、昔は1種類ではありませんでした。

一時期は各出版社がそれぞれ出版し、70種類以上の日本語版サンボが存在していたと言われています。

イラストも違えば、翻訳ニュアンスも違う。

だから昔読んだサンボと今売っているサンボが一致しないことも多いのです。

タイトル出版社出版年イラスト翻訳特徴
ちびくろ・さんぼ岩波書店
(瑞雲舎)
1953
(2005)
フランク・
ドビアス
光吉夏弥多くの方が思い浮かべるであろうミリオンセラー。
赤い表紙が印象的なサンボの代表作。
ちびくろサンボの
ぼうけん
偕成社1966せがわやすお神宮輝夫『いないいないばあ』でお馴染み瀬川康男さんが絵を
手掛けたコミカルな作風のサンボです。
ちびくろサンボ
(世界名作ファンタジー)
ポプラ社1985高橋信也
大野豊
平田昭吾アニメ風な絵でお馴染みのシリーズ。サンボもアニメ
風になっており、より幼く描かれています。
とらのバターの
パンケーキ
評論社1998フレッド・
マルチェリーノ
せなあいこ原作とは全く違う、柔らかく美しい表現をしている絵
です。まるで違うお話かのよう。
ちびくろさんぼの
おはなし
径書房1999ヘレン・
バンナーマン
灘本昌久原作者であるヘレンが手掛けた絵をもとに、元の絵本
を忠実に再現したという絵本。
ちびくろサンボ径書房2008フランク・
ドビアス
灘本昌久岩波書店版の原作となったマクラミン社の絵本を当時
のまま忠実に再現したという絵本。
関西弁ちびくろサンボTAPIRUS2024ヘレン・
バンナーマン
渋谷獏ヘレンの絵を使いながらも、文章はコッテコテの関西
弁なので違和感がスゴイです。
ラテ(長女)
ラテ(長女)

この他にも、絶版となる前は70種以上もの日本語版サンボがあったんだって!

『ちびくろサンボ』の昔と今

このように、昔、一時期絶版となる前は各出版社がそれぞれのサンボを出版している状態でした。

岩波書店版が突き抜けていたとはいえ、物語の全集などにはほぼ必ずラインナップされている状態だったようです。

今も新品の絵本を買えるのは岩波版だけ

原作は100年以上も前の作品とあって、著作権は切れています。

その為、上記の『関西弁ちびくろサンボ』のように新作として出版(ただしこれはKindleのみ)されることもあるようですが、基本的には絶版のままです。

今、新品の絵本として確実に購入できる『ちびくろサンボ』は岩波版の瑞雲舎復刊絵本のみのようです。

図書館ではマクラミン社版の『ちびくろサンボ』や『ちびくろさんぼのおはなし』は所蔵していることも多く、中古もまだ手に入るでしょう。

どれを選べばいい?目的別おすすめ

いろいろあって、どれを読めばいいか分からない!という方のために選ぶヒントをお伝えします。

懐かしい思い出をそのまま味わいたい

多くの人が「サンボ」と聞いて思い浮かべるのがこれ。

岩波書店(瑞雲舎) 1953年発刊(2005年復刊) ◆3歳~
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一時期絶版になったにも関わらず、ミリオンセラーを記録している絵本です。

わたしも例に漏れずこの岩波版が家にあったのを思い出します。

他にも、あの頃子どもたちに大人気だった世界名作ファンタジー絵本を思い出す方もいるかもしれません。

そんな方にはこちら。

著:平田 昭吾, イラスト:高橋 信也, イラスト:大野 豊
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こちらは既に絶版となっているので、どうしても読みたい!という方は中古品を探すしかなさそうです…

本当の原作が気になるなら

絶版になった理由を知ったなら、本当の原作が気になりますよね。

作者が作ったもとの絵本を忠実に再現したのが径書房の『ちびくろさんぼのおはなし』です。

そして岩波版の原作となったのがアメリカ・マクラミン社のもので、それを忠実に再現したのがこの『ちびくろサンボ』です。

どちらも見慣れない作品かもしれませんが、背景を知る上では欠かせない絵本です。

しかしながらこちらも現在は新品は入手困難となっているようです…

話のタネになる絵本を探しているなら

たくさんの種類が出版されているからこそ、話のタネになりそうな変わった絵本も存在します。

例えば最近出版された『関西弁ちびくろサンボ』。

著:ヘレン・バンナーマン, イラスト:ヘレン・バンナーマン, 編集:TAPIRUS, 翻訳:渋谷獏
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原作の絵を使用しているけれど、文章が関西弁になっているので違和感とともにユーモアを感じます。

こちらはKindle版のみのようですが、Kindle unlimited の読み放題対象作品なので会員の方はぜひ!

30日間の無料体験も可能なので、対象の方は無料で読むことも可能です!

また、評論社の『とらのバターのパンケーキ』はサンボではなくババジくんが主人公になっていますが、話は同じです。

全然違う作品に見えますよね。

著:ヘレン・バンナーマン, イラスト:フレッド・マルチェリーノ, 原名:Helen Bannerman, 原名:Fred Marcellino, 翻訳:せな あいこ
¥1,760 (2025/09/18 08:36時点 | Amazon調べ)

フレッド・マルチェリーノの優しい絵がお話の印象も変えています。

どちらも読み比べてみると、一風変わった読み聞かせタイムになるのでおすすめです!

今も昔も複雑な背景をもつ絵本

『ちびくろサンボ』は日本に入ってきた当時から複雑な背景をもっていました。

時代が進むにつれ、差別問題や著作権問題などが明らかになっていき、今の状態になっています。

子どもたちにとっては知らずにいることでも、大人のわたしたちは少しでも考えておきたいですね。

他にも問題作?がある1950年代の絵本

このような著作権問題は、1950年代に出版された他の岩波子どもの本も抱えている問題ではあるようです。

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